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浅野 雅春; Chen, J.; 前川 康成; 吉田 勝
no journal, ,
光グラフト重合は、水/アセトン/スチレンからなるモノマー溶液中に厚さ50mのPTFEを浸漬し、高圧水銀ランプ(400W)を用いて、窒素ガス雰囲気下、60Cで行った。また、ETFE, PVDFについても、同一条件で光グラフト重合を行った。電解質膜の作製は、得られたスチレングラフトフィルムを0.2Mクロロスルホン酸溶液中、60Cでスルホン化した後、60Cの熱水中で、24時間加水分解することにより行った。得られた電解質膜のIECに対するプロトン伝導性では、ベースの基材高分子によって、顕著な差が生じた。膜厚方向のプロトン伝導度()が0.06S/cmの値を持つ電解質膜のIECの結果から、同じを持つ電解質膜でも、基材高分子によりIECに差異を生じ、PTFE, PVDF, ETFEの順にそれぞれ0.45, 0.85, 1.05mmol/gになることがわかった。この原因は明らかでないが、高分子基材の持つ結晶性もその要因の一つと考えられる。その結晶性は上記の順に、それぞれ64, 48, 32%であった。すなわち、グラフト反応場は非晶領域であり、高い結晶性を持つ高分子基材ほど狭い非晶領域に導電性基が高密度で存在するため、低いIECにもかかわらず同じを発現すると推察した。
榎本 一之; 高橋 周一*; 岩瀬 崇典*; 山下 俊*; 前川 康成
no journal, ,
燃料電池開発において、その心臓部分にあたる電解質膜の高温耐久性が自動車用電源への適用に必要不可欠である。現在、高温での機械特性やイオン伝導性に優れた電解質膜は、その合成の難しさから実現していない。その中で、高温耐久性の高分子基材膜に電解質をグラフト鎖として導入できる放射線グラフト重合は有力な合成手法の一つである。本研究では、2種類のフッ素系基材膜にスチレンスルホン酸を導入したグラフト型電解質膜を作製し、燃料電池の高温作動を考慮した熱水(85C)中におけるフッ素系基材膜とグラフト鎖の化学構造及び高次構造を解析することで分解機構を検討した。熱水中の電解質膜重量とスルホ基(-SOH)濃度の変化及び脱離したグラフト鎖の構造解析により、グラフト型電解質膜の劣化は、これまで考えられてきたスルホ基のスチレンスルホン酸単位からの熱的脱離やグラフト鎖主鎖の分解ではなく、グラフト鎖が基材から直接脱離していることが明らかになった。グラフト鎖脱離による劣化は、電解質膜の高次構造(相分離)が支配因子となる新たな分解機構を見いだした。
長谷川 伸; 高橋 周一; 佐藤 賢*; 成田 正*; 岩瀬 裕希; 小泉 智; 前川 康成
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放射線グラフト法は、機械特性や耐熱性に優れたフッ素系高分子膜高分子電解質膜(それは電解質膜中で疎水性マトリックスとして働く)に、イオン電導性領域をグラフト鎖として直接導入できるため、家庭向けコージェネレーション電源,燃料電池自動車電源の電解質膜への応用が期待されている。今回、高温での機械特性,耐久性に優れたポリエーテルエーテルケトン(PEEK)へのスチレン誘導体の放射線グラフト重合を検討し、低結晶性PEEK膜のアニーリング処理により結晶化度を制御することで、グラフト率が大幅に向上し、燃料電池として優れた特性を有する電解質膜の作製が可能となった。
Chen, J.; 浅野 雅春; 前川 康成; 吉田 勝
no journal, ,
高分子型燃料電池は自動車の動力源として有力視されている。特に、高温低湿度において高い性能を持つ燃料電池が望まれている。これまで使用されてきたナフィオンは、高いコストとともに、高温低湿度下での電池作動のおいて性能が著しく低下することが指摘されている。そこで、本研究では、燃料電池実用化を目的として、放射線による低コスト化、かつ高性能化したポリエーテルエーテル系高分子電解質膜を開発した。具体的には、ジビニルベンゼンの熱グラフト重合とエチルスチレンスルホンファイドエステルの放射線グラフト重合からなる二段階グラフト重合により、スルホン酸基へ変換できる官能基を高密度でポリエーテルエーテル基材にグラフトし、それを加水分解処理することにより高分子電解質膜を合成した。得られた高分子電解質膜はナフィオンより優れた導電性,機械的強度があり、高温低加湿の条件における高い電池性能を示した。
能田 洋平; 熊田 高之; 橋本 竹治; 小泉 智
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従来法では、弱い中性子散乱コントラストしか得ることのできないポリエチレンについて、中性子散乱コントラストの増強を目的に、有機ラジカルTEMPOをドープした高分子試料(ポリエチレン)について、動的核スピン偏極法(3.3Tesla, 1.4Kにおいてミリ波(94GHz)を照射)によって試料中の水素原子核のスピンを偏極させた状態での、偏極中性子小角散乱測定を行った。
八巻 徹也; 澤田 真一; 浅野 雅春; 前川 康成; 吉田 勝; Gubler, L.*; Guersel, S. A.*; Scherer, G.*
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最近われわれは、高温での放射線照射で得られる架橋ポリテトラフルオロエチレン(cPTFE)を基材とし、スチレンとビス(ビニルフェニル)エタン(BVPE)をグラフト共重合することにより新規の多重架橋型電解質膜を作製した。BVPEは膜全体のグラフト側鎖を均一かつ高密度に架橋することが可能であるため、従来のDVB架橋を凌駕する耐酸化性だけでなく、優れた寸法安定性,機械的特性(強度と柔軟性)をもたらすことを明らかにしている。そこで今回は、cPTFE主鎖とBVPE架橋グラフト鎖とからなる本電解質膜のPEFC特性を放射線架橋,化学架橋による効果に着目して調べた。放射線分解型高分子のPTFEではグラフト重合のためのわずかな照射でも膜性能に大きな影響を及ぼすことが示唆され、PTFE主鎖の架橋により放射線耐性を向上させることが電解質膜としての特性維持に不可欠であると考えられた。一方、BVPEによるグラフト側鎖の架橋は、電極との間の接触性だけでなく耐久性向上にも効果的であることがわかった。多重架橋型電解質膜は、80C, 95Cの開回路電圧保持による劣化加速試験において非常に安定であり、劣化は性能に影響を与えるほど大きくないことが明らかになった。
増井 友美; 敷中 一洋*; 小泉 智; 橋本 竹治; 角五 彰*; Gong, J.*; Kwon, H.*
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アクチンとポリカチオン混合溶液により、in vitroのモデル細胞骨格を構築した。モデル細胞骨格のナノメートルスケールからマイクロメートルスケールでの構造情報を中性子小角散乱と蛍光顕微鏡を併用することにより定量的に調べた。本研究では、細胞内部で塩濃度の揺らぎが存在し、アクチン濃度が高い点を踏まえ、高アクチン濃度条件で塩濃度変化による階層構造の変化を詳細に追跡した。顕微鏡観察から、塩濃度が低い場合には、コイル構造、塩濃度が高くなるとバンドル構造へとその形態を変化させるが、その際に、バンドル内のアクチン間距離やパッキング状態などのナノオーダーの微細構造を変えながら、バンドルの太さを変化させていることを明らかにした。得られた定量的なパラメータから、構造形成要因について詳細に検討した。
小泉 智; 岩瀬 裕希; 澤田 真一; 八巻 徹也; 前川 康成
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テフロンは耐溶媒性に優れる素材として知られるが、線前照射法によってフィルム内部にラジカルを導入すると、スチレンモノマーを連続的に吸い込み、テフロン基材に対してグラフト重合を行うことができる。このような固相における重合反応は、モノマーや活性種の拡散,基材との相分離,基材の破壊といった物理過程と共存し大変複雑であり、その理解は未だ不十分である。そこで、重合途中の基材構造変化を中性子小角散乱でその場観察した。その結果、グラフトは一般に結晶表面で行われるという描像を確認することができた。この知見は固相空間を利用して重合触媒の開発に指針を与え得るものであり、この成果を発表する。
岩瀬 裕希; 小泉 智; 山口 大輔; 松林 政仁; 前川 康成; 橋本 竹治
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燃料電池の発電特性は燃料電池セル中の水の分布・挙動と直結する。燃料電池の水分布は電解質膜のイオンチャンネル内に存在するミクロスケールの水、ガス拡散相やセパレータの流路に滞留したマクロスケールの水といったように広い空間スケールにわたって存在し、総合的に発電特性を支配すると考えられている。今回、ミクロスケールからマクロスケールの水分布を広範囲な空間スケールについて横断的に観察するための計測手段として、中性子小角散乱と中性子ラジオグラフィを結合させた計測システムを開発した。本計測法を用いて、実作動状態下の燃料電池単セル内のミクロからマクロスケールの水分布状態のその場観察に成功したので、この成果を高分子討論会において報告する。
山口 大輔; 宮元 展義*; 小泉 智; 中戸 晃之*; 橋本 竹治
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強相関超分子系の階層構造研究の一環として、ニオブ酸化物ナノシート(物質名KNbO)における液晶性の発現機構を詳細に調べた。ナノシートは厚み(結晶の単位層に相当)が一定値(1.8nm)であるのに対し、それと垂直方向の広がり(以下粒子径と記述)を数十mから数百nmの範囲で制御可能である。種々の平均粒子径を有するナノシートコロイド溶液の液晶性を小角中性子散乱法により評価し、平均粒子径が1m以上の場合にはシート粒子の配向に関する秩序(nematic構造)が優先的に発現する一方、平均粒子径が1m以下では粒子の配置に関する秩序(すなわち、規則的なシート間間隔)が優先的に発現することを解明した。この成果は構造が物性(液晶性)をコントロールしている例として非常に興味深い。
澤田 真一; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 鈴木 晶大*; 寺井 隆幸*; 前川 康成
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水トレーサー透過試験と散逸粒子動力学(DPD)シミュレーションを用いて、架橋ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)電解質膜の水輸送機構を調べた。透過試験により得られた水の自己拡散係数Dは、Nafionよりも低い値を示した。DPDシミュレーションから、架橋PTFE電解質膜における水輸送経路の直径は1.8nmと計算された。これは、Nafionの6.8nmと比べて非常に小さな値である。ポアソン-ボルツマンモデルに基づく解析により、架橋PTFE電解質膜では、水分子に強い静電場が働くことがわかった。このことが、水輸送が抑制される主因であると考えられる。
元川 竜平; 小泉 智; Zhao, Y.; 橋本 竹治; 飯田 優羽*
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制御ラジカル重合法により、ポリメタクリル酸メチルとポリスチレンで構成されるジブロック共重合体を合成した。この重合溶液について中性子超小角・小角散乱法による観察を行った結果、均一溶液下でのジブロック共重合体の成長、及び、重合の生成物に誘起される相分離構造の出現を小角散乱の時間変化として追跡することに成功した。その際、相分離構造のモルフォロジーとサイズの経時変化を反映して青から赤の構造色が連続的に発現することも明らかにした。また、重合溶液中にミクロ相分離構造が出現すると、重合速度に変化が起こることを実験的に見いだしたので、これら結果について報告する。